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2012年 03月 11日
震災から1年が立ち、様々な思いが蘇ってきます。 この一年間、ソーシャルワークも大きく揺さぶられ、自分たちの実践を何度も振り返ることになりました。 災害とソーシャルワーク実践の歴史は決して新しくはないと考えますが、その概念化、そして理論と実践を結びつける動きも徐々に随所で始まっているようです。 震災前に既に提示されているものですが、クローニンとライアンは、災害から回復への被災者の対応を以下の4つの時期に分けて整理しています。 1. 勇壮期 Heroic phase: 衝撃前から1週間後まで 行動 - 生命を守り、財産の損失を最小限にするために苦闘する。 感情 - 恐怖、不安、茫然自失 2. 蜜月期 Honeymoon phase: 2週間から2ケ月 行動 - 救援活動が生存者に元気を与える。早期回復への希望の高まり。楽観は長続きしない。 感情 - 生きているという幸福感、感謝の気持ち、深い悲しみ、不信感 3. 失望(幻滅)期 Disillusionment phase: 数ヶ月から1年以上 行動 - 官僚的手続きと回復の遅れという現実が始まる。外部からの支援が去っていく。生存者は、自分たちでやらなければならないことが山積し、自らの人生は決して以前と同じではないことを実感する。 感情 - 挫折感、抑うつ、自信喪失、喪失/悲嘆、孤立 4. 復興期 Reconstruction phase: 数年間 行動 - 通常の機能が徐々に再構築される。 感情 - 前進していることへの満足、現在起こっていることへの適切な感情 出典: Cronin, M. & Ryan, D. (2010). Practice Perspectives of Disaster Work, 表9.1 In D. Gillespie & K. Danso (Eds.), Disaster Concepts and Issues: A Guide for Social Work Education and Practice. Alexandria, VA: Council on Social Work Education. これはあくまでも一つの整理の仕方であると思いますが、東日本大震災で被災された方々の状況、そして今なお終結しない原発災害の状況を考えると、復興期への移行の道のりは遠く、未だに失望期の最中で苦闘されている方々がほとんどであると考えます。 ソーシャルワーカーはこの失望期にどのような役割を果たせるのか、そして政府にとっての復興ではなく、被災者一人ひとりにとっての回復に役立つソーシャルワークの機能とは何であるのか、改めて考えていきたいと思います。 # by swhit | 2012-03-11 09:44
2012年 01月 16日
ソーシャルワーク関連ジャーナルのインパクト・ファクターの続きです。 先日の上位5誌以外の主なジャーナルの2010年のインパクト・ファクターは以下の通りになっています。 (トムソン・ロイターズ、Journal Citation Reportsによる) インパクト・ファクター ジャーナル名 0.854 Child & Family Social Work 0.724 International Journal of Social Welfare 0.605 Journal of Social Work 0.596 Journal of Social Work Education 0.587 Administration in Social Work 0.582 Affilia - Journal of Women and Social Work 0.545 Journal of Social Service Research Social Work誌とともに、主な大学図書館でも見かけるSocial Work Research を探すと、0.449 という低い値になっているのも意外でした。 隣接科学に目を移すと、それぞれの領域での1位のジャーナル名とインパクト・ファクターの値は以下のようになっていました。 社会心理学(Advances in Experimental Social Psychology 6.545) 社会学(American Sociological Review 3.693) 看護学(International Journal of Nursing Studies 2.103) 一つの指標に過ぎないと思いますが、ソーシャルワークの分野でインパクト・ファクターを信頼性ある指標として活用していくためには、分母↑と分子↑の両方が求められているのかもしれません。 # by swhit | 2012-01-16 23:05
2012年 01月 15日
最近よくインパクト・ファクターという言葉を聞きますが、その定義や計算方法についてはよく知りませんでした。 トムソン・ロイターによると、インパクト・ファクターとは、「特定の1年間において、ある特定雑誌に掲載された平均的な論文がどれくらい頻繁に引用されているかを示す尺度であり、一般にその分野における雑誌の影響度を表す」とのこと。 計算式は非常にシンプルでした。たとえば、2010年におけるインパクト・ファクターの計算は次のようになります。 A=2008年、2009年に雑誌SWに掲載された論文が2010年中に引用された回数 B= 2008年、2009年に雑誌SWが掲載した論文の数 雑誌SWの2010年のインパクトファクター=A/B <参照> トムソン・ロイター IP & SCIENCE http://science.thomsonreuters.jp/products/jcr/support/faq/ 最新号のResearch on Social Work Practice (Vol. 22-1, pp.5-9) のEditorialでは、ブルース・タイヤー先生により2010年のソーシャルワーク関連のジャーナルのインパクト・ファクター上位5誌が紹介されています。(どうもタイヤー先生は、分母と分子を逆に記載されているように見えますが、それはさておき...) Research on Social Work Practice のホームページ http://rsw.sagepub.com/ 1位 (1.524) British Journal of Social Work 2位 (1.421) Social Service Review 3位 (1.143) Health and Social Work 4位 (1.130) Research on Social Work Practice 5位 (1.048) Social Work *括弧内はインパクト・ファクターの値 イギリスのジャーナルがトップとなっているのは以外でしたが、どうもこれはSelf-Cite、つまりその同じジャーナル内で引用されている比率の高さにも関係しているようです。たとえば、British Journal of Social Work ではSelf-Citeの比率が5誌の中では36%と最も高くなっているのに対し、その他4誌のSelf-Cite比率は3%~17%となっています。 詳細はわかりませんが、イギリスではBritish Journal of Social Work に多くの論文投稿が集中するのに対し、ジャーナル数の多いアメリカでは各誌に投稿が分散するということなのでしょうか? インパクト・ファクター計算におけるソーシャルワークのジャンルには、純粋にソーシャルワークのジャーナルとは言えないものも多く含まれています。研究分野や地域による特性もあるため、インパクト・ファクターの値を額面通りに解釈することには問題があるかもしれませんが、ソーシャルワークの領域においても、今後さらに重要な指標となっていくのでしょうか。 # by swhit | 2012-01-15 07:31
2012年 01月 03日
昨秋から年末にかけて、フル回転の日々が続きました。 そうした状態に気がつかないでいると、体が強制的にブレーキをかけることがあります。 日頃の反省をこめて、この年末年始はわが身に何もしない宣言をしました。 この機会に、普段積んでおいた本の中から、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』を読み進めています。 副題は「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」とややセンセーショナルになっていますが、これは自然災害や政変などの危機に便乗して(あるいは意識的に招いて)、人々がショックから立ち直る前に経済改革を強行することを指しています。 具体的には、1950年代以降シカゴ学派の重鎮として、アメリカのみならずチリをはじめとする発展途上国において、マーケット至上主義、規制撤廃、民営化を推し進める理論的支柱となったミルトン・フリードマンとその信奉者たちへの強い批判がなされています。原書は2007年に出版されていますが、650ページを超えるため日本語版は上下巻となったようです。 ナオミ・クライン ホームページ http://www.naomiklein.org/main 昨年の震災後、菅内閣から野田内閣へ移行、そして11月のTPPへの参加表明と、まるでショック・ドクトリンに沿うかのような政策運営が進められています。 ソーシャルワーカーの価値と原則は、おそらく同じシカゴ学派でもデューイ、ミード、そしてジェーン・アダムズともつながりが深い社会学のシカゴ学派には親和性はあるものの、ヴェブレンはさておきフリードマン以降の経済学のシカゴ学派とは相容れないでしょう。 昨今の社会福祉の政策、そして改革(誰のための?)には、ソーシャルワーカーや社会福祉学の研究者はどれだけ働きかけができているでしょうか。むしろ、経済学者や経済学の理論あるいは経団連が与える影響の方がはるかに大きいのではないでしょうか。 今年の仕事始めまであと一日。ソーシャルワーカーとして、ソーシャルアクションを起こしていくためには、もっと経済学の理論についても学ばなければと感じています。 The purpose of studying economics is not to acquire a set of ready-made answers to economic questions, but to learn how to avoid being deceived by economists. Joan Robinson (1903-1983) # by swhit | 2012-01-03 12:47
2011年 08月 18日
15年前の秋、都内K大学にてある人の講演を聴く機会がありました。 日本とアメリカ社会における人の動きをを次のように比較していました。 「アメリカでは政府の政策立案、ビジネス、市民運動の間で人(人財)が横に動く」 一方で、 「日本では人間が組織の中で縦にしか動かない」 「日本はあらゆるものが管理されている社会。この原因は何か?」 「これを変えてゆく何かをやらなければ」と、市民運動を出身とする自らが先頭に立ち、変革に取り組む姿勢を訴えていました。 その一週間ほど前、都内で別の人の話を聴く機会がありました。 「政治の本来の目的は、お金を持った利益集団の行き過ぎを抑えるもの」 「本来企業は未来の設計者であるはずだが、平気で木を切り倒し、オゾン層、大気、そして水の汚染を行っている」 「しかもそうした企業は短期的な利益を求め、権威主義的政治とは裏で手を結んでいる」 それに対して、「市民としての動機づけをより多くしてゆくには、社会正義を追求することが楽しくてたまらない、という域にまで高めていくことが必要」 「社会正義の追求こそが、人間にとっての一番すばらしい仕事である」と言い、 その代表的実践者として、昨年亡くなられた消費者運動実践家の野村かつ子さんと、元日産自動車の技術者のMさん(20年間不良製品を告発し続けた)の名を挙げていました。 この半年で、ソーシャルワーカーが取り組むべきことは何か、という問いに対する従来の枠組みが揺さぶられていることを感じています。 歴史的にも人と環境、あるいはCauseとFunctionとの間で、専門職としてのスタンスが振り子のように動いていますが、現在もそうした状況にあるのでしょうか。 15年前の二人の話を思い出し、社会の変革を進め、社会正義の実現を目指してきた市民運動の先達から、ソーシャルワーカーはもっともっと学ばなければと、あらためて感じました。 尚、15年間前にお話しを聴いた両者(前者:菅首相、後者:ラルフ・ネーダー)ともに、今も自らが先頭に立ち、社会の変革に取り組んでいることを信じています。 # by swhit | 2011-08-18 12:42
2011年 06月 25日
今年も昨年同様猛暑がやってくるのでしょうか。 以下の新聞報道がありました。 朝日新聞(2011/6/24) http://www.asahi.com/national/update/0624/TKY201106240572.html 熱中症死者、10年は過去最多1718人 8割高齢者 統計では捉えられていない方も、おそらくいらっしゃるのではないでしょうか。 厚生労働省の呼びかけは、高齢者の生物学的な特徴のみに着目していますが、なぜこうした問題が明らかに高齢者にアンバランスに起こっているのか、災害とソーシャルワークの課題として、さらに深めて考える必要があると思います。 震災の避難生活で、劣悪な環境の中この夏を過ごさなければならない方々が、まだまだ多くいらっしゃいます。 高齢者がおかれている生活環境や経済的側面、そして地域社会の状況も含め、なぜこのような災害が不均衡に起こるのか、昨年の状況を踏まえ、防ぐことができる災害を起こさないための、ソーシャルワークの役割をもう一度考える必要があると思います。 # by swhit | 2011-06-25 00:15
2011年 06月 23日
「説明責任」という言葉が今ほど空回りしている時は無いかもしれません。 原子力発電の安全性と危険性について、政府や東京電力、そして多くの専門家の説明はとても分かりづらく、不安と不信が拭えません。 では、果たしてソーシャルワーカーはAccountable な専門職か? 本日も倫理綱領を読み返しました。 社会福祉士の倫理綱領 倫理基準 Ⅰ 利用者に対する倫理責任 4.説明責任 社会福祉士は、利用者に必要な情報を適切な方法、わかりやすい表現を用いて提供し、利用者の意思を確認する。 その3 「社会福祉士は、利用者が必要な情報を十分に理解し、納得していることを確認しなければならない」 利用者は不安を抱いていないか、必要な情報を理解し、納得しているか、専門職としてしっかりと説明できているか、常に自問したいと思います。 一方で、電力消費者の一人として、これまでの無知と無関心を反省し、もうすこし勉強したいと思います。 次の世代の人たちへの説明責任も果たさねばならないと思っています。 # by swhit | 2011-06-23 23:16
2011年 06月 23日
画面右側写真の下に、Angry Bravery Commitment と書いています。 この言葉を選んだ経緯については、後日書きたいと思いますが、ソーシャルワーカーとしてこのABCを忘れないようにしたいと思います。 何ごとにも臆病な私は、Braveryという点については、ヘレン・ケラーに学ぶところが大きいです。 好きな言葉で時折耳にしていたのですが、原文がわかりませんでした。 先日原文をみつけましたので、以下に引用します。 Security is mostly a superstition. It does not exist in nature, nor do the children of men as a The Open Door (1957, p. 17) by Helen Keller # by swhit | 2011-06-23 00:36
2011年 06月 21日
震災のことを考え始めると、胸にこみ上げてくるものが多く、収拾がつかなくなります。 被災地へ足を運び、厳しい環境の中で被災地の皆さんとともに汗を流しているソーシャルワーカーの仲間も多くいます。ソーシャルワーカーとして何ができるか、誰もがそれぞれの持ち場で、専門職としての役割を考え続けているのではないでしょうか。 しばらく倫理綱領を読み返すことがなかったのですが、常に専門職の価値と原則に立ち返る必要性を改めて感じています。 社会福祉士の倫理綱領: 価値と原則(社会正義) 「社会福祉士は、差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現を目指す」 昨日は世界難民の日であったようです。 4370万人という数字に驚きました。(NHKニュース: 2011/6/20) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110620/t10013644371000.html こうした問題についても早くから取り組んでいるソーシャルワーカーの仲間から以下の番組を教えてもらいました。考えさせられます。(FNNスピーク特集: 2011/5/6) http://www.fnn-news.com/speak/ss/articles/ss2011050618.html 原発の問題についても自分自身の無関心と不勉強を反省しています。この問題は、地域福祉の根源に深くかかわるものであり、ソーシャルワーカーの価値と原則に照らしてもう一度考えていきたいと思います。(さようなら原発1000万人アクション) http://www.peace-forum.com/no_nukes/ やはり収拾がつかなくなりました。 # by swhit | 2011-06-21 01:02
2011年 06月 19日
ブログ名に「ソーシャルワーカー」という言葉を使うことにかなり迷いました。「社会福祉士」とすべきか、「精神保健福祉士」とすべきか、それとも専門職名はつけるべきではないのか... 「ソーシャルワーカー」は何をする者なのか、利用者にも地域や社会にも認知してもらい、また説明していくためには、あるときは「社会福祉士」、またあるときは「精神保健福祉士」、ではなく、「ソーシャルワーカー」という言葉をできるだけ意識して使っていきたいと思います。 # by swhit | 2011-06-19 02:03
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